みなさんこんにちは。
クボノです。
私は、2年くらい前のある日。職場に向かう電車の中で、ふとこんなことを考えました。
「そういえば、シャーロック・ホームズの原作って読んだことないな」
と。
シャーロック・ホームズと言えば、泣く子も黙る世界で最も有名な名探偵。
コナン・ドイルがこの世に爆誕させて以降、その人気は未だ衰えず、ホームズが登場する作品は未だに作られ続けているという、エンタメ界の怪物みたいな存在です。
これとか、
これとか、
これとか、
あとこれとか。
とにかく一度発表されてしまえばものの見事にすべてヒットしてしまうという、ドル箱のような鉄板コンテンツ。
私は、こういったシャーロック・ホームズ関連の作品はいくつも見たことがあったのですが、シャーロック・ホームズの原作そのものは一度も読んだことがありませんでした。
なぜかというと、
「翻訳小説ってなんか、小難しくない?」
と思っていたから。
遥か昔。
私がまだ愛らしい小学生だった頃、アガサ・クリスティーの代表作『ABC殺人事件』の翻訳小説を手に入れたことがありました。
どうしてそれを買ったのか、あるいは買ってもらったのかは何ひとつ憶えていませんが、とにかく小学生の私はそれを手に取り読んだのでした。
そしてすぐにそれを閉じたのでした。
理由は明快。
めちゃくちゃ難しかったから。
小学生にとってクリスティーはレベルが高かった…。
あと、日本語の文章がイチイチこう、上からモノを言ってくるような偉そうな感じで、小学生の私でも「これ、読者のことバカにしながら書いてない?」と思うくらいにはイライラする文章だったことを憶えてます。
よって私はクリスティーの超名作と呼ばれる作品の犯人を未だに知りません。
この先も誰かが実写映画化か、特別ドラマ化してくれるまでは多分知らないままだと思う。
そしてそのトラウマもあってか、シャーロック・ホームズの原作にも手が出せないまま、ズルズルと大人になってしまっていたのでした…。
しかしそうは言っても、私も今はもう十分立派な大人。
『ABC殺人事件』を読もうとしたのは小学生の頃でしたが、とっくに大人となってしまった今の私ならば、シャーロック・ホームズの翻訳小説も読めるようになっているのかもしれない!
「たぶんね!!」
ちなみに、
「翻訳小説が小難しいとか言うんなら、最初から英語原文で読めば良いじゃん?」
というインテリツッコミは無しにして欲しい。
英語が読めるならそもそも翻訳がどうとかごちゃごちゃ言わねーよバカ。インテリバカ。
というわけで、私のような英語を全く読めない大人立派な大人でも読める、翻訳版シャーロック・ホームズを探す旅が始まったのでした…。
もくじ
最もとっつきやすい翻訳小説といえば?
さて、シャーロック・ホームズを探す前に、私でも簡単に読むことのできた翻訳小説をいくつかご紹介したいと思います。
ハリー・ポッターシリーズ(静山社)
日本で最も有名な翻訳小説といえばやはりこちら、『ハリー・ポッターシリーズ』でしょう。
海外ではすでにミリオンセラーとなっていた本作の翻訳権を、名のある大手出版社全てを跳ね除け手に入れた静山社の翻訳小説。
児童文学という姿勢を崩さず、小学生でも読めるようにと徹底的に配慮された内容は、当時の子供たちをあっという間に魔法の世界の虜にしてしまいました。
ダレン・シャンシリーズ(小学館)
こちらは、ハリー・ポッターシリーズと同時期に連載されていたダークファンタジー小説『ダレン・シャンシリーズ』です。
主人公ダレン・シャンがバンパイアとなり、仲間たちと共に様々な苦難を乗り越え成長していくというストーリー。
謎のサーカス団やバンパイアなど、ワクワクが止まらない内容となっています。
ガイコツと探偵をする方法(創元推理文庫)
こちらは、その名の通り国内・海外の推理小説を専門とした、東京創元社の文庫レーベル。
主人公の娘がかなりの日本オタクという設定で、作中で普通にソウル・イーターやNARUTOの話が出て来てビックリした作品です。
「読んだ」と言うと少しだけ他人に自慢できる翻訳小説
決して読みやすいわけではないのですが、「読んだ」ことそのものを他人に自慢できるタイプの翻訳小説です。
これを抑えていると、「この人、よくそんなの読んだなぁ」という評価を得られます。
ライ麦畑でつかまえて(白水社)
サリンジャーの超有名小説『ライ麦畑でつかまえて』
これを読んでいると、なんとなく誰かに自慢できます。
罪と罰(新潮社)
名前は聞いたことあるけど内容は全く知らない小説ランキングのベスト3には確実に入っている『罪と罰』。
つまりこれを読んでいれば、「すごいなこの人」か、「なんだコイツ」のうちどちらかの評価を得られること間違いなしです。
もちろん私は読んだことはありません。
蠅の王(ハヤカワepi文庫)
ウィリアム・ゴールディング著作の、『東京島』のような、漂流した島でサバイバルと殺し合いが勃発するホラー作品の原型ともいえる作品『蠅の王』。
どこにでもいる普通の少年たちが徐々に狂気と殺意に飲み込まれていく様は、見ていて恐ろしくもあり、また、人間の汚さを正しく表現してもいます。
銀河ヒッチハイクガイド(河出文庫)
イギリス人作家ダグラス・アダムス著作のコメディSF。
とにかく不条理で意味不明な展開が多い本作ですが、1982年に刊行されて以降、未だにファンの人気が衰えないとんでもない怪物作です。
2005年には実写映画化もされており、これが私はメチャクチャ好きなんですが、よくよく調べたら、その映画脚本もダグラス・アダムス本人が執筆していました。そりゃ面白い。
こちらがその映画。
そろそろホームズを探しに行こう
さて、
翻訳小説をいくつか紹介したところで、いい加減シャーロック・ホームズの翻訳小説を探しに行きたいと思います。
まずはジュンク堂へ
電車の中でホームズの翻訳小説のことを考えてから数日後、私は一人、ジュンク堂に立っていました。
目当てはもちろん、私でも読めるシャーロック・ホームズの翻訳小説です。
「お!あったあった。ここが『海外小説』の棚だな」
難しそうなタイトルが並ぶ棚を、一人うろうろ歩きまわる一匹のカレイ。
「えーっと、シャーロック・ホームズっと…そっかコナン・ドイルの作品だから『コ』の棚の所に行けばいいのか…ん?あれ、『ド』の棚か?ん?どっちだ?」
そして何かに気づき立ち止まるクボノ。
「!!?」
なんとそこには、

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シャーロック・ホームズシリーズの一作『緋色の研究』だけでこんなにもたくさんの種類が並んでいたのです…。
「おい、マジかよ…」
そのあまりの種類の多さに、マジ面倒くさがりのクボノ立派な大人のクボノは思わず絶句したのでした。
自分にピッタリの翻訳小説を探す方法① 立ち読みしよう
翻訳小説の面白いところは、出版社や翻訳者が違えど原文はすべて同じものだということ。
翻訳者の翻訳の仕方やクセなどによって、その作品の読みやすさが全然変わって来るというところです。
というわけで私は、その場に置かれているすべての『緋色の研究』を片っ端から立ち読みしていきました。
これは靴や服の試着と同じようなもので、実際に読んでみない事には、その翻訳者と自分との相性がいいかどうかは分かりません。
私の場合、読んでみて、「かたっ苦しいな」と思ったものや、「言葉遣いが古いな」と感じたものは自分に合わないと判断し、除外していきました。
自分にピッタリの翻訳小説を探す方法② 表紙を見よう
少し以前の話になりますが、太宰治の有名小説『人間失格』の表紙を、今までのものからガラリとイメージを変えたことで、大幅に売り上げ部数を伸ばしたという出来事がありました。
それがこの表紙。
『ヒカルの碁』や『DAETH NOTE』などの作画で知られる小畑健氏のイラストです。
この出来事によって、「内容が何も変わらなくても、表紙を変えるだけで売り上げは伸びる」と気づいた出版社によって、有名漫画家やイラストレーターによる表紙の改変が次々に巻き起こったわけですが、ひるがえせばつまり作品の顔ともいえる表紙は、それだけ重要な存在だったということ。
翻訳小説でも同様に、作品の顔ともいうべき表紙をしっかりと選びましょう。
自分にピッタリの翻訳小説を探す方法③ 本を買おう
というわけで、さんざん立ち読みをし、表紙を見比べ様々な出版社の中から最終的に私が選んだ『緋色の研究』が、コチラです。
『緋色の研究』角川文庫版
翻訳の雰囲気が一番自分にマッチしていたのと、表紙のイラストがなんだかいい感じだったので選びました。
自分にピッタリの翻訳小説を探す方法④ 買ったら少しずつ読もう
ジュンク堂から帰ったその日。
カバーのかけられたその本を一気に読むのが勿体なくて、私は結局、数日に分けてこの本を読みふけりました。
読みふけって分かったのですが…、
「シャーロック・ホームズ、超おもしろい!」
マジで面白かった。
本当に面白かった。
これが本当に100年以上前の作品なのかと疑いたくなるほどの完成度でした。
そりゃあ、「シャーロキアン」なんてホームズの熱狂的なファンがいまでも世界中にいたり、映画化やアニメ化されれば即ヒットするわけです。
結論
というわけで結論です。
自分にピッタリの翻訳小説を探す方法は、
1、最低でも最初の1ページは立ち読みすること
2、表紙も見て決めること
3、買ったら少しずつ読むこと(でも時間があれば一気読みしてもいい)
です。
もしも私のように、翻訳小説に対して苦手意識を持っている方がいれば、ぜひともこの方法を参考にして、あなたにとってぴったりの翻訳小説を探してみて下さい。
ちなみに、私のようにシャーロック・ホームズの原作を読んだことが無いという方は、こちらの角川文庫版をおススメします。

シャーロック・ホームズの冒険 新訳版 シャーロック・ホームズ (角川文庫)
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現代風の文体になっていて、私はとても読みやすく感じました。